東京優駿観戦記
今年で12年連続となる日本ダービー観戦に東京競馬場へ出向いてきました。
今年は混む予感がしたので、朝の4時起きで競馬場出撃。
しかしその時点で、すでにこの12年で経験したことのないほどの人が並んでおりました(ディープの年は午後出発)。
決死の開門ダッシュ。なんとかまずまずの席を確保できたけれど、もう少しで4時起きしておきながら地べた観戦になるところでした。
今回で80回目を迎える日本ダービー。各種イベント盛りだくさんだったけど、2頭のダービー馬がパドックで披露されたのもその一つだった。
第60代ウイニングチケット号
第67代アグネスフライト号
どちらも記録よりも記憶に残るダービー馬。
2人の名手を悲願のダービージョッキーにした馬たち。
とくにアグネスフライトは、個人的にダービーの馬券を初めて取らせてくれた馬。
元気そうで何よりです。
さぁ偉大な先輩たちに続く、栄えある80頭目のダービー馬はどの馬か。
日本ダービーは競馬界の最高に名誉あるレース。
そしてその予想を的中させるのもファンにとって名誉。
だから毎年ダービーだけはオッズに惑わされず、外しても悔いの残らない人馬に本命を託してきた。
今年は、キズナと武豊に全てを託す。
武豊騎手にとってはこのダービー、勝つと負けるとではその後の騎手人生に大きくかかわってくるはず。
キズナが皐月賞馬をおさえて1番人気になったのも、もう一度武豊に往年の姿を取り戻してほしいという思いが大きかったからであろう。
1週目。キズナは控えて後方3番手。
この日もGI仕様の前残り馬場。正直後ろから外を回したんでは辛い。
にもかかわらず、キズナの位置取りを尊重する武豊。
この大一番でも変わらぬ度胸も武豊ならでは。
あとは伸びるのを信じるしかない。
直線。カメラを構えて待ち受けていた。
しかし、キズナが外に出して狭い進路を割れるかもがく姿をファインダー越しに見た時、写真を撮ることなど頭の中から消え失せ、ただ必死に絶叫している自分がいた。
周りからも大きな声援、いや怒号が上がった。
そしてその声に後押しされ、キズナは見事にエピファネイアを差し切り勝利した。
その瞬間の大歓声を私は忘れないだろう。
競馬場内が祝福に満ちた空気に包まれた。
勝ち戻る人馬。久々のユタカコール。
この雰囲気はなんだろう。
長いこと現場で競馬を見てきて、こういう独特の思いで溢れた雰囲気になったことは滅多になかった。
例えば失意のディープインパクトがジャパンカップに勝った時。
あの時の安堵感と祝福に包まれた空気、あれに近かったかもしれない。
もうこの時点でウルウルだったけど、
勝利騎手インタビューでの武豊騎手の「僕は戻って来ました」では涙腺が崩壊したね(笑)。
ブエナビスタの引退式以来に競馬で泣いてしまったよ(苦笑)。
思えば落馬事故以降成績が下がる一方で、本当に辛かったろうからなぁ。
できるはずのことができない、自分への歯がゆさはどれほどだったか。
それでも腐らず諦めなければまた陽の当たる場所に戻ってこれる。
言葉で言うのは簡単だけど、すごい精神力だと思うよ。
またキズナはノースヒルズの馬というのがいいよなぁ。
社台に三下り半を突き付けられ、有力馬が次々離れていく中、武豊騎手を変わらず支援してきたのはメイショウの松本オーナーや、ノースヒルズの前田オーナー。
まさにこれこそキズナがもたらした感動だ。
大一番で主戦を降ろして外人ジョッキーにスイッチした陣営もある中、こういう物語があるからこそ余計ファンは感動する。
チーム絆万歳。